Wine上の吉里吉里1/KAG2と吉里吉里2/KAG3製のノベル系作品の動作について(Wine 1.3.31時点・後半)

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描画速度

Wineのバージョン
作品を作成した吉里吉里のバージョン
作品の実行時の指定

といった要素により、描画動作が非常に遅くなる場合がある(特に画面の切り替わりなど)。
これは、Windowsにおける2Dの描画と深い関わりを持つDIB(Device-Independent Bitmap)エンジンとそのWineの実装と関係している。

吉里吉里1/KAG2による作品における描画速度について

吉里吉里1/KAG2による作品では、Wineのバージョン1.3.31以上であれば描画速度が大きく改善されている。これよりもバージョンが低いバージョン1.3系のWineでは『1999 Christmas Eve』のタイトル画面などでテキストがクリックできない(操作が利かない)現象が起こる場合がある(DIBエンジン関係の実装が中途半端な状態のバージョンでの不具合?)。更に古いバージョン(バージョン1.2系などのWine)では、そうした箇所の操作は利くが描画は非常に遅くなる。
『その向こう側』という作品では、バージョン1.3.31のWineを使用しても、ウィンドウサイズが『1999 Christmas Eve』よりも大きいためか「十分滑らか」とは言えないかもしれない(バージョン1.2系などの古いバージョンでは描画が非常に遅いので、描画速度自体は改善されているのが分かる)。

吉里吉里2/KAG3(吉里吉里 2.28以下)による作品における描画速度

吉里吉里2/KAG3(吉里吉里 2.28以下)を用いた作品の場合は、.exeファイルのオプション指定-dibtype dibsectにより大きく描画速度が改善される。吉里吉里 2.30以上では描画の方式が変更されてこのオプションは廃止されている。

$ wine [.exeファイルの場所] -dibtype=dibsect

このオプション指定の値についてはバージョン2.28以下の吉里吉里2系(例:kikyou.info/tvp/files/kr2_228r3.lzh)のドキュメントkirikiri2/kr2doc/contents/commandline.htmlに書かれており
[引用]ファイル名: kr2_228r3.lzh内のkirikiri2/kr2doc/contents/commandline.html より

dibtype (DIB使用方法)

　DIB(デバイス非依存ビットマップ)の扱いの設定です。
　設定可能な値は 'sdb' (StretchDIBits使用), 'drawdib' (DrawDib使用), 'drawdibjdi' (DrawDib使用 DDF_JUSTDRAWIT 指定), 'dibsect' (DIBセクション使用) のいずれかで、このオプションを指定しないと 'drawdib' が指定されたものと見なされます。
　吉里吉里が画像演算などに用いるメモリの確保方法と、描画 API を指定します。
　ビデオカードやそのドライバとの相性や、 OS によっては、'drawdib' を指定するよりも適切な指定がある場合もあります。

(吉里吉里1/KAG2による作品の描画速度に問題のない)Wineのバージョン1.3.31でも、-dibtype=dibsectオプションについては付けないと描画は重くなる。
「dibsect」以外の値については、Wineのバージョン1.3.31では「sdb」でも滑らかに動作するが古いWineではダメで、「drawdib」系は1.3.31でも重かった。
Wineのバージョン1.3.31のアナウンスには「Support for StretchDIBits and AlphaBlend in the DIB engine.」と書かれており、「sdb」指定で滑らかに動作することとも対応しているが、「drawdib」系についても今後のバージョンで対応する可能性はあり、対応すれば無指定でも滑らかに動くようになるかもしれない。
バージョンが2.30以上の吉里吉里を用いた作品の動作については確認していない。
(2012/2/9)Wineの(DIBエンジンの実装が完了したバージョンの)1.3.37の時点では-dibtype=dibsect指定なし(drawdib)でも重くならずに動作するようになっている。