試験運用中なLinux備忘録・旧記事

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Wine上のRPGツクールVX Ace作品でメッセージ右端の文字が欠ける件のその後

Wine バージョン1.4-rc2時点のRPGツクール作品とWOLF RPGエディター(ウディタ)作品の動作についてのメモ」で、Wine上でRPGツクールVX Ace作品のメッセージ右端の文字が欠ける件についてを扱っているが、RTPに含まれるフォント(VLゴシック)のファイルを編集することで正常に表示されるようにできたので、ここでその修正についてを扱う。
(2013/4/13)メッセージの右端が欠ける問題はWineのバージョン1.5.28で修正されており、本記事の方法で回避する必要はなくなった。

  1. 関係するファイル群
  2. フォントの修正点
  3. フォント修正の手順
    1. フォントを開く
    2. 全て選択後に変形ダイアログを開く
    3. サイズを指定
    4. .sfdファイルを保存
    5. 再起動後に.sfdファイルを開く
    6. .ttfファイルを保存
    7. 注意ダイアログ
  4. 修正後のフォントファイルを配布

関係するファイル群

[RTPのインストール先]/Fonts/にある

  • VL-Gothic-Regular.ttf
  • VL-PGothic-Regular.ttf

の2つのファイルが関係する。標準の場所にRTPをインストールした場合は[Wine環境の最上位ディレクトリ(標準では[ホームディレクトリ]/.wine/)]/dosdevices/c:/Program Files/Common Files/Enterbrain/RGSS3/RPGVXAce/Fonts/にある。

フォントの修正点

上記2ファイルについて、フォント内の全てのグリフ(個別の文字の形)を拡大もしくは縮小したもので置き換えた場合に大きさが変わり、試行錯誤の末に「120%」という大きさにしたときにちょうどよく表示されることが分かった。
修正前


修正後

フォント修正の手順

フォントの編集にはFontForgeを使用する。2ファイルそれぞれについて同様に作業を行う。

フォントを開く
引数に.ttfファイルの場所を指定するか、起動後に.ttfファイルを選択して開く。

全て選択後に変形ダイアログを開く
「Ctrl+A」を押すか「編集 - 選択 - すべて選択」で全てのグリフを選択し、「エレメント - 変形-変形」で変形のダイアログを開く。

サイズを指定
「Origin」を「グリフの原点」にし、下の操作を「一様に拡大・縮小」にして横のサイズを「120%」にして「OK」を押す(他の項目はそのままにする)。

ここでしばらく処理に時間がかかるが、20110222版の時点ではCPU(コアなども含む)が複数存在しても重い処理は1つのスレッドで行われるため、マルチコアCPUでは「OK」を押す前の段階まで進んだら新しくFontForgeを起動してもう1つのファイルについて同じところまで進めてからそれぞれの「OK」を押すことで同時に効率良く処理することもできる。

.sfdファイルを保存
「保存」もしくは「ファイル名を指定して保存」で.sfdファイルを保存する。

再起動後に.sfdファイルを開く
次にFontForgeを終了後に起動し直して、保存した.sfdファイルを開く(一旦終了しないで.ttfファイルを保存しても変更が適用されない)。開き方は最初の.ttfファイルのときと同様、引数に指定するか起動後に選択する。

.ttfファイルを保存
「ファイル - フォントを出力」で「TrueType」を選択して.ttfファイルを保存する。特に設定を変更したりはしなくてよい。


.sfdファイルは今後必要なくなるので、消してもよい。

注意ダイアログ
ダイアログが出るが、「はい」で保存する。

修正後のフォントファイルを配布

VLゴシックフォントは自由なライセンスのデータなので

  • 修正後のフォント
  • ライセンス
  • 修正点について記述したテキスト

を.tar.xz形式にまとめて
skydrive.live.com/redir.aspx?cid=3f9be5b1cd4a806c&resid=3F9BE5B1CD4A806C!1744&parid=3F9BE5B1CD4A806C!1743&authkey=!ALCHNp5dSN3JsMk
に公開した。これをRTP内の該当ファイルに上書きして使うことができる。
(2013/4/13)システムにディストリのVLゴシックのパッケージがインストールされていると、RTP内のフォントファイルを上書きしてもシステムのVLゴシックのフォントが使われ、表示が修正されないことがある。なお、Wineのバージョンが1.5.28(不具合が修正されたバージョン)以上であれば修正済みのフォントファイルは使用せず、元の状態で動かすのがよい(上書き済みであればRTPの入れ直しをするなどして戻す)。

参考URL:

使用したバージョン: