ReactOS 0.3.12を試してみる(VirtualBox上)
しばらくぶりにReactOSを試してみた。バージョンは0.3.12となっているが、本記事はこのバージョンにおける新機能をまとめたものではない(0.3.11での変更点やVirtualBox関係の内容を含む)。
内部的には数多くの変更点があるようで、
www.reactos.org/wiki/ChangeLog-0.3.12
のようなバージョン番号ごとのページに変更点が書かれている。
- 日本語の表示
- キーボードが利かないことがある?
- 安定性
- ファイルマネージャ
- ReactX 診断 プログラム
- VirtualBoxのGuest Additions
- ReactOS アプリケーション マネージャ
- スパイダソリティア
日本語の表示
公式で配布されているインストール用ISOイメージを用いたが、そのままでも、インストーラの最初の言語選択で「Japanese」を選択すると、インストールの初期段階ではメッセージはカタカナだが、再起動後の段階から先はユーザインターフェースの日本語部分の表示が正常に行われるようになっている。しかし、コマンドプロンプト上のメッセージは文字化けし、フォントを変更しようとしてもは一覧が空で変更できない。
キーボードが利かないことがある?
OS起動後にキーボードが利かなくなることがあった(動作したりしなかったりする・ブートローダ画面では問題なし)が、USBキーボードを用いてかつ仮想マシンでUSBサポートを有効にしていると起こるようで、仮想マシンのUSBサポートを切ると問題は解消された(ホストOSのUSBデバイスはゲストOSからは使えなくなる)。安定性
青画面でOSごと落ちるということは見られないが、動作が進まずに固まることは起きる。CPU使用率100%で空の「スタート」メニューは開くがタスクマネージャの起動も含め何もできないということもあった。通常はCtrl+Alt+Deleteを送信すると「何をしますか?」というダイアログが出て各種操作が行えるが、そういった不安定な状態ではそのダイアログも出ない。ファイルマネージャ
ファイルのコピー/貼り付けがうまく動作しない。ごみ箱はまだうまく動作していない(送れないことがある)。
ツールバーのボタンも動作していない。
「Web」を押してもエラーダイアログが出てWebブラウザとしては使えない。
ReactX 診断 プログラム
DirectX診断プログラムのようなプログラムがあるが、名前が「ReactX」となっている(ReactOSのDirectX実装)。バージョンは9.0cとなっていた。タブを切り替えると真っ白になってしまうので何もできなかった。
VirtualBoxのGuest Additions
マウス統合は動作を確認
VirtualBoxのGuest Additions(VBoxWindowsAdditions.exe)をインストールしてみたところ、以前はマウス統合が動作していなかったが、今回試した際には正しく動作している。ただ、VirtualBoxのバージョンも以前試したときよりも上がっているため、どちらの改善によるものなのかは分からない。Guest Additionsのインストール後に画面の色数が256色になってしまったが
- デスクトップ上のコンテキストメニューから「プロパティ」を選択
- 「設定」タブで色数を「True Color (32 ビット)」などに変更
- 「スタート」メニューから再起動
とすることで色数は変更し直せる。再起動が必要になるのは変わっていない(シャットダウン時に電源が自動で切れないのも以前と同様)。
共有フォルダは機能未実装で動作せず
共有フォルダについては残念ながら今回もWindowsでの共有フォルダを開くためのUNCパス(\\vboxsvr\[共有フォルダ名])が開かないため、動作が確認できなかった。コマンドも以前試したときと同様でC:\ReactOS\system32>net use [空いているドライブ名]: \\vboxsvr\[共有フォルダ名] This command is not implemented yet
未実装。将来のバージョンでは動作するものと思われるが、どのぐらい先になるかは不明。
ReactOS アプリケーション マネージャ
以前のバージョンにあったアプリケーションの自動ダウンロード/インストールツールはReactOS アプリケーション マネージャという名前になっており、見た目も少し変わっている。種類ごとに幾つかのアプリケーションを自動的にダウンロード・インストールすることができる。
コントロールパネルの「Add/Remove Programs」でもこれが起動する。
VirtualBoxの仮想サウンドカードのオーディオドライバ
VirtualBoxの仮想サウンドカード「ICH AC97」のオーディオドライバ(Avance AC97 Audio)も以前のツールと同様、ここからインストールするのだが、インストール直後のデバイス検出時にそのダイアログを放置して先にドライバをC:\ReactOS\に展開してからウィザードを進めて自動的にインストールするようにするという形が確実のようで、後からハードウェアの検出を手動で行ってもうまくいかない(ハードウェア追加時の検出ウィザードが進まない)。ミキサーについてはマスターボリューム以外はまだ真っ白になって設定できない。
音量が小さくなければ起動時に起動音が鳴る(鳴らないこともある)。
Opera
Operaは一覧からインストールはできるがページが開かずに使い物にならない状態。Firefox 3.6
Webページは一部表示がおかしいところがあるが開ける。Flashのあるページでインストール機能を用いてFlashをインストールしようとしたところインストーラが落ちた。別途ダウンロードしたものを実行しようとしてもうまくいかない。以下はエラーダイアログの内容。
タイトル: FP_PL_PFS_INSTALLER-2.exe - Application Error 内容: The instruction of "0x0040215c" referenced memory at "0x0000000c". The memory could not be "read".
ファイルダウンロードは以前に試したときと同様、マウスカーソルを移動しているときだけ進む。
スパイダソリティア
バージョン0.3.11からスパイダソリティアのクローンが追加されている。プレイは問題なくできる。スパイダソリティア専用のOSとして使うなら実用段階とも言えるが...使用したバージョン:
- ReactOS 0.3.12
- VirtualBox 3.2.10