試験運用中なLinux備忘録・旧記事

はてなダイアリーで公開していた2007年5月-2015年3月の記事を保存しています。

動画編集アプリケーションOpenShotに関するメモ(バージョン1.4.0時点)

  1. バージョン1.4.0とcoloradj_RGBエフェクトについて
    1. タイムライン内のスクロールの操作性が向上
    2. エフェクトの追加
    3. トランジションの追加
    4. 動画タイトル(Blender使用)の追加
    5. 翻訳関係
  2. OpenShotの今後について
    1. GTK+ 3への対応
    2. MLTから独自のライブラリへ

バージョン1.4.0とcoloradj_RGBエフェクトについて

バージョン1.4.0はUbuntu 11.10で標準で利用可能となるようにするため、2011/9/23にリリースされた。11.04では開発者によるPPAリポジトリ(ppa:openshot.developers/ppa)を入れることでパッケージとしてインストール可だが、一部のエフェクトはfrei0r(エフェクト集)のバージョンの関係で「Warning: effect not found in your version of Frei0r: frei0r.coloradj_RGB」と端末に表示されて利用できない。これは
git.dyne.org/index.cgi?url=frei0r/tree/src/filter/coloradj/readme
を見る限りは初版が2010年7月とのことなので、それ以降にリリースされたバージョンのfrei0r(公式の安定版ファイル一覧を見ると1.2系と1.3系が該当する)なら問題ないと思われるが、11.04のバージョンは「1.1.22git20091109-1.1」でこれが含まれる前となっており、11.10のバージョンについてもWebでパッケージ検索をした限りでは同じバージョンとなっているようなので、11.10でもこれは動かない可能性が高い。
この問題を解決するには、ディストリの「1.1.22git20091109」ベースのバージョンのfrei0rをバージョン1.2系か1.3系のもので置き換えるしかない(ただし、実際に置き換えての動作確認はまだしていない)。
以下、OpenShotのバージョン1.4.0に関する内容を記述する。

タイムライン内のスクロールの操作性が向上
中ボタン(ボタン2)ドラッグでタイムラインのスクロールができるようになっている。これにより下部の左右スクロールバーを操作する煩わしさから開放される。

エフェクトの追加
バージョン1.3系から更に幾つかのエフェクトが追加されている。その多くは色の変更に関するものだが、黒帯を上下に付けるレターボックスのようなエフェクトも存在する。

トランジションの追加
トランジションのパターン画像が幾つか追加されている。

動画タイトル(Blender使用)の追加
Blenderを使用した動画タイトルに新しいテンプレートが2つ追加されている。

翻訳関係
翻訳可能文字列については、2名の新規貢献者に参加していただけたこともあり、正式版のリリース前(厳密にはlaunchpad.netの翻訳を最後にソースツリーに反映させたタイミング)までに100%の翻訳率まで作業はできたが、エフェクト一覧に「反転」が2つ(ネガ反転をするほうのエフェクトは以前のバージョンのもので、鏡のように反転するほうが今回追加されたもの)になったりと不適切な部分も残ってしまっており、このようなものは次回リリースにて修正される予定(launchpad.net上の訳は訂正済み)。
作業履歴の一覧などに英語でメッセージが表示される件については変わっていない。

OpenShotの今後について

以下の内容は公式ウェブログからのものとなる。

GTK+ 3への対応
OpenShotのバージョン1.4.0の時点では、GUIツールキットにGTK+ 2がPyGTKから用いられている。しかし、GTK+ 3が登場したことやPyGTKがそのGTK+ 3にそのまま対応しない(PyGIを用いる)ことから、このまま「GTK+ 2 / PyGTK」を使い続けるよりは「GTK+ 3 / PyGI」へ対応させようということで、貢献者の一人が対応作業を開始し、大部分が既に完了している。
バージョン1.4.0がリリースされた後、GTK+ 3への対応は最も高い優先順位で行われるようだ。
(2014/10/11)GTK+ 3への対応は正式には行われず、バージョン2系はQt5(言語は引き続きPythonを使用)を用いることになる。

MLTから独自のライブラリへ
OpenShotKdenliveは「MLT」というマルチメディアフレームワークを用いており、内部の動画や音声に関する処理の多くはこのフレームワークを用いて行われる。
しかし、OpenShotの開発者は、自身が求める動画編集ライブラリのあり方と現段階のMLTとがかけ離れていると感じており、かつ、既存のMLTを改善させるよう働きかけるということを行うよりはOpenShotに合わせた独自のライブラリを作るほうが好ましいという判断により、C++言語を用いたOpenShot Video Libraryというライブラリを作成する方針を立てた。
ただ、すぐにこれを用意して移行するということにはならず、GTK+ 3対応版のリリース後、今後1年から1年半ぐらいの期間における幾つかのリリースではMLTを継続して用いる予定のようだ。
(2014/10/11)ライブラリの名前はlibopenshotとなり、既に公開されている。

使用したバージョン:

  • OpenShot 1.4.0
  • frei0r 1.1.22git20091109-1.1