LASH Audio Session Handler(旧LADCCA)について
デスクトップ環境のログアウト時に「セッションを保存する」と、次回ログイン時に自動的にアプリケーションを起動し、可能な限り、アプリケーション内の状態も復元する。
JACKアプリケーションにおいてこのような「セッション管理」を実現するのがLASH Audio Session Handler(http://www.nongnu.org/lash/)。古くはLinux Audio Developer's Configuration and Connection API(LADCCA)と呼ばれていた(が、まだこの名前で有名?)。
セッションを保存することで、次回以降「個別にアプリケーションを起動し直してポートを接続して...」という作業を行う必要がなく、セッションの読み込み/保存/終了といった操作だけを行えばよい。
2008年1月の時点では対応アプリケーションが非常に少ない*1のが難点だが、今後に期待。
GLASHCtlについて
概要
GLASHCtl(http://dino.nongnu.org/glashctl/)は、freedesktop.orgのシステムトレイに常駐するセッション管理ツール。シンプルながら非常に有用。JACK Audio Connection Kitのポートの接続機能もあるが、チェックボックス形式のため、QjackCtlより使いにくい。
Gentoo Linuxでは「pro-audio」Overlayをlaymanで追加するとインストールできる。
Debianではlennyから、UbuntuではGutsy(7.10)からパッケージが存在する。
起動
(2008/1/17)端末から起動する場合は
$ glashctl &
のように実行する。QjackCtlを使用している場合、「Setup」ダイアログの「Options」タブの外部アプリケーション自動起動/終了機能を使用する。
- 「Execute script after Startup」にチェックを入れ、入力欄に「glashctl &」を入れる*2
- 「Execute script on Shutdown」にチェックを入れ、入力欄に「killall glashctl」を入れる
それぞれ、シェルスクリプトを書いている場合はその中にこの記述を含める。
使い方
JACK Rackを例として使用する。
- jackdを起動後GLASHCtlを起動(QjackCtlでは上の設定により、「Start」ボタンを押すだけで自動的にこの順番で起動できる)
- JACK Rackを起動
- JACK Rackの入出力ポートを接続し、LADSPAプラグインを設定
- システムトレイのメニューから名前変更(Rename)
- 同様にしてプロジェクトディレクトリ(既定の場所は${HOME}/audio-projects/[プロジェクト名]/以下)を変更(Move)
- プロジェクト保存(Save)
- プロジェクトを閉じる(Close)
プロジェクトを閉じると、クライアント(JACK Rack)は終了する。
この後でシステムトレイのメニューから「Restore Session」でセッションを保存したディレクトリを指定するか、最近のセッション一覧から選択することで、クライアント(JACK Rack)が起動し、ポート接続とLADSPAプラグインの状態を自動的に復元する。
LASH Control Panel
lash_panelはLASH自身のパッケージに含まれ、GUIのウィンドウ上でプロジェクト管理を行う。LASHクライアント一覧が表示され、プロジェクトに関する操作も一通り行えるが、GLASHCtlのほうが使いやすい気がする。
使用したバージョン:
- LASH 0.5.4
- GLASHCtl 0.4.3
- JACK Rack 1.4.6
*1:LADCCA向けのまま放置されているケースもある。未対応でもArdour(バージョン2.2では未対応・参考:http://ardour.org/node/1008)など、対応作業進行中のものもある