GNU/Linux版Picasa 2.7についての覚え書き
GNU/Linux版のPicasaについて、「Linux版Picasa2同梱のWineの設定メモ」でバージョン2.2系を扱ってから後にGNU/Linux向けのバージョン2.7が出ているので、出てからかなりの期間が経過しているが、設定を含めてまとめておく。
Wineを使用している点は変わらないが、改良点はある
以前と同様、Wineを使用している点は変わらず、Win32向けの実行ファイルが含まれている。バージョン2.2系のときには、内蔵のWineの問題で、ロケールの指定によっては動作(メニューの展開など)が重くなり、使いにくかったのだが、バージョン2.7では内蔵のWineが新しくなり*1、この現象は起こらなくなっている。
また、フォントの設定に関しても、(文字化けを全てなくすには至らないものの)設定ツールが付属している。
システムのWineにWindows版をインストールする方法とGNU/Linux版を使用する方法のどちらを選ぶかは好みの問題だが、Picasaが確実に動作することや、専用のWineとWine環境が用意されること、追加のツールがあることなどは強みと言えるかもしれない。
初回起動時のダイアログについて
You have a version of the ukai.ttf font which is known to cause problems with Picasa. A Picasa-compatible version of the font can be installed automatically. This will only affect Picasa, and will not change the font currently installed on your system.
で始まるダイアログが出るが、修正済みのフォントを使用することは恐らくないため、右の「No don't ask again」を選択。
配色テーマを変える
配色テーマは古いWineのもので、暗い色になっている。これを変更するツールは付属していないが、[ホームディレクトリ]/.picasa/を環境変数WINEPREFIXに指定して3D Color Changerを入れて
$ unzip [3dcc-en.zipの場所] $ WINEPREFIX=~/.picasa /opt/picasa/wine/bin/wine Setup.EXE
インストール後は
$ WINEPREFIX=~/.picasa/ /opt/picasa/wine/bin/wine "C:/Program Files/JaSMiN Co/3D Color Changer 3000/Js3Dcc.EXE"
のように起動することで、テーマをツールで変更することはできる。
あるいは、システムのWineの環境で設定した色設定をレジストリエディタでレジストリファイルに書き出して、これをPicasa用のWine環境([ホームディレクトリ]/.picasa/)に対して適用する形での配色テーマの「移植」は行える。
書き出すレジストリキー(フォルダ)は
HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Colors
で、この場所を指定して.regファイルに書き出し、今度はPicasa付属のレジストリエディタを
$ WINEPREFIX=~/.picasa /opt/picasa/wine/bin/regedit
のようにして起動し、メニューからこのレジストリファイルを開いて取り込むか、あるいは
$ WINEPREFIX=~/.picasa /opt/picasa/wine/bin/regedit [レジストリファイルの場所]
のように引数に指定して取り込む。*2
なお、下のフォント設定でも同様だが、システムトレイの「Picasa メディア ディテクタ」が動いている場合、作業の前にこのアイコンのメニューから終了しておく。
フォントの設定
独自のフォント設定ツールが用意されている。これは、デスクトップ環境のメニューから「Picasa Font Settings」を探すか$ /opt/picasa/bin/picasafontcfg &
のように直接実行して起動する。
「Font Linking」タブ*3で置換したフォントはメインウィンドウの「インポート」「ライブラリ」「ウェブ アルバムにログイン」などの文字や検索欄のフォントとして使用されるようで、
「Menu Font」では文字通り、メニューのフォントを変更する。*4
手元の環境では、メニューのフォントが化けていたので「Tahoma」から「IPA モナー UIゴシック」に変更することで修正ができた。しかし、ファイルを開くときなどのダイアログで一部豆腐のままで、このツールだけで全ての文字化けを解消することはできなかった。
ダイアログでの文字化けが起こる場合、IPAモナーフォントをインストールした状態で*5下のレジストリファイルをShift_JISのエンコーディングで保存して
[任意]ファイル名: picasa4linux-2.7-font-replace-ipaguimona.reg
REGEDIT4 [HKEY_CURRENT_USER\Software\Wine\Fonts\Replacements] "MS UI Gothic"="IPA モナー UIゴシック"
その後、付属のレジストリエディタで読み込む(引数指定でもメニューからのインポートでも可)。
$ WINEPREFIX=~/.picasa /opt/picasa/wine/bin/regedit [picasa4linux-2.7-font-replace-ipaguimona.regの場所]
あるいは、シンボリックリンク${HOME}/.picasa/dosdevices/c:/windows/fontsを削除し、代わりに同名のディレクトリを作成し、その中にフォントファイル(IPA モナー UIゴシックの場合はipagui-mona.ttf)もしくはそれに対するリンクを配置する。
最終的には、メニュースタイル変更のレジストリも含めて
メインウィンドウが
上のように、ダイアログが
上のようになった。
使用したバージョン:
- Picasa 2.7 (Build 37.3600, 0)
*1:とは言え、バージョン1に到達したWineよりは古い
*2:別の方法として、Wine環境のuser.regにある「Control Panel\\Colors」セクションを[ホームディレクトリ]/.picasa/user.regにコピペするという方法もある
*3:「Linked Fonts」項目の追加時に下部の「Cancel」「OK」ボタンが見えない場合、フォント名を選択した状態でTab、Enterと押す
*4:下部の「Cancel」「OK」ボタンが見えない場合、ここまでの操作を確定するには、「Menu Font」の一覧からフォント名を選択した状態でTabを2回押してEnterを押す
*5:他のフォントを使用することはもちろん可能で、この下に記述しているレジストリファイルのフォント名部分をそのフォントの名前に置き換える