試験運用中なLinux備忘録・旧記事

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AMD(ATI)が配布するfglrxの.runファイルからDebianパッケージを作成してインストールする(Ubuntu向け・2011年4月時点)

GNU/Linux上のX Window System向けのAMD(ATI)提供のCatalyst(fglrx)ドライバについて、「UbuntuにおけるCDEmuと最新のグラフィックドライバのインストールについて(Ubuntu 10.10時点)」で扱った「X Updates」のPPAリポジトリを用いた場合、ディストリ標準のパッケージよりも新しいバージョンのドライバが利用可能になるものの、毎月AMD(ATI)がリリースしている最新のバージョンには追い付いていないことがある。
しかし、/usr/share/doc/fglrx/README.Debianというファイルを読んだところ、このPPAリポジトリを用いる代わりにAMDのサイトからドライバファイルをダウンロードし、その後これに対して幾つかの操作を端末から行うことでDebianパッケージを自分で作成してインストールできることが分かった。
以下の作業例は同ファイルに記述されている作業に基づいたものとなる。使用したUbuntuのバージョンは10.10。

必要なパッケージの準備

作業に必要なパッケージを以下の作業によってインストールできる。これは一度だけ行い、今後同様にしてパッケージ作成を行う際には繰り返す必要はない。

$ sudo apt-get build-dep fglrx-installer

(2011/6/22)先述のPPAがなくても上記指定で問題はない。「fglrx-installer」はfglrxドライバ関係のパッケージ群を作り出すソースパッケージの名前で、標準で用意されている。

ファイルのダウンロード

google:AMD Graphics Drivers & Softwareのページから対象のハードウェアやOSを選択してページを進むと.runファイルへのリンクがあるのでこれをダウンロードする。

Debianソースパッケージの作成

ダウンロードした.runファイルをもとにして現在の作業ディレクトリにDebianソースパッケージを作成するために--buildpkg Ubuntu/sourceオプションを付けて.runファイルを実行する。

$ bash [ati-driver-installer-[バージョン].runの場所] --buildpkg Ubuntu/source

ソースパッケージの展開とソースディレクトリへの移動

作成されたソースパッケージを展開するためにdpkg-source-xオプション付きで実行し、生成された.dscファイルを指定する。その後ソースのディレクトリに移動する。

(展開)
$ dpkg-source -x fglrx-installer_*.dsc

(作業ディレクトリの移動)
$ cd fglrx-installer-*

パッケージバージョンの決定を兼ねた変更履歴編集

変更履歴項目を追加し、パッケージの新しいバージョンとする。そのためにはdchというコマンドを-eオプション付きで実行すると便利で、エディタ名が一覧された中から任意の項目を選択して編集し、保存してエディタを終了する。

[fglrx-installer-[バージョン]]$ dch -e
(新しい変更履歴項目を作って保存・終了する)

エディタの選択では

Select an editor.  To change later, run 'select-editor'.
  1. /bin/ed
  2. /bin/nano        <---- easiest
  3. /usr/bin/emacs22
  4. /usr/bin/emacs23
  5. /usr/bin/mcedit-debian
  6. /usr/bin/vim.basic
  7. /usr/bin/vim.tiny

Choose 1-7 [2]:

のような形で一覧が表示され(上の場合はnanoが既定の選択肢で、そのままEnterを押すと選択される)、一度選択すると${HOME}/.selected_editorというファイルに保存され
[引用]ファイル名: ~/.selected_editor

# Generated by /usr/bin/select-editor
SELECTED_EDITOR="/bin/nano"

これを消すまでは以前の選択が有効となる。選択項目を変えるにはselect-editorを実行し、上のような一覧からの選択を再び行う。

$ select-editor

パッケージのビルド

debuildでバイナリパッケージ(.debファイル群)を作成する。

[fglrx-installer-[バージョン]]$ debuild -us -uc -tc

パッケージのインストール

作成した.debファイル群を手動でインストールする。ただ、開発パッケージ「fglrx-dev」は必須ではない。
下はdpkgコマンドを用いているが、GUIツールなど、別の方法で入れることもできる(ここでは扱わない)。

[fglrx-installer-[バージョン]]$ sudo dpkg -i ../*.deb

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使用したバージョン: